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コロナ延期の根拠規定

2020-04-10

申告期限4月16日まで延長

首相の全国小中高一斉休校要請の2月27日発言のあった日、所得税の申告期限も4月16日まで延長されることになったとの情報が流されました。首相発言は、新型コロナ感染症対策本部での発言で、その末尾は行政機関宛てで、感染拡大抑制に必要な法案を早急に準備せよ、と締め括っています。申告期限延長はこれに応じたものです。

所得税の申告期限は3月15日と所得税法で定められています。なお、国税通則法には、「災害その他やむを得ない理由」があるときの期限延長規定が用意されていて、「その理由のやんだ日から2月以内」とされています。「理由のやんだ日から」との規定なので、これは今般は適用しにくいため、今次は特別な法案を準備するのでは、と推測されました。

3月6日に国税庁長官告示で対応

申告期限の延長をアナウンスしていた国税庁のホームページに、3月6日に国税庁長官の官報告示がなされた、との情報が付加され、これにより国税当局は、期限延長の法的手続きが完了したとの態度を示しています。

国税庁長官の官報告示はその法的根拠を国税通則法施行令第3条第2項としています。この政令規定は、先に適用しにくいと指摘した国税通則法の規定の委任規定で、しかも、その第2項は、e-Tax 使用不能事象発生の場合の混乱に対処する目的で平成29年に急遽追加された規定です。

長官告示で済めばラクチンだろうが

国税通則法施行令第3条第2項はe-Taxブラックアウトのような現象を想定しての規定ですが、それを例示の代表としてそれに類似する「その他の」多数行為困難者発生事例にも対処出来るとの規定になっています。

ただし、例示規定なので、適用には類似性の検討が要求されます。e-Taxブラックアウトの類似例に今般の新型コロナ事件は該当するのか、と問えば、疑問アリです。その上、「その理由のやんだ日から2月以内」との規定が委任元の法律にあるので、類似性があっても「理由のやんでない」事例は排除されるように思われます。

法律上「その他の」は「包括的例示」、「その他」は「並列的例示」

納税者不利処理ではないものの、この検討からは、長官告示で済ませてよいものなのかには疑問が残ります。

国税のコロナウイルス対応

2020-04-09

確定申告期限が延長された本年

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。所得税・贈与税の申告期限は1か月延長となりました。その他の税の手続きを延長できる制度にも、変更が加えられている部分があります。横断的に見てみましょう。

 

今般の感染症=災害

新型コロナウイルス感染症に関しては、これまでの災害時のような資産への損害・帳簿等の消失といった直接的な被害は生じていないものの、患者になった、あるいは濃厚接触者になり外出自粛等の要請が行われるなど、「自己の責めに帰さない理由」があるため、従来の法人税等の申告期限延長の申請理由の他に、以下のようなケースでも申請が認められます。

①税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症になった

②納税者や経理責任者が外国に滞在中で、入出国制限にかかり戻ってこられない

③経理担当者等が感染及び感染対策で休暇を取っている

④感染防止のため株主総会の開催時期を遅らせた

⑤納税者が保健所や医療機関等から外出自粛の要請を受けた

 

相続税の申告期限の延長

新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、相続税の申告期限までに申告できない場合については、個別の申請で期限等が延長される場合があります。ただし、個別の申請で延長されるのは、その申請を行った方のみとなります。他の相続人等の申告期限等は延長されませんから、「ウイルス関連で相続の話し合いができない」等の事態に陥った場合は、相続人全員分の申請を忘れないようにしましょう。

 

納税の猶予にも感染症事由が適用

事業の損失等で国税を納付できない場合、最大1年間の分割納付が受けられる「納税の猶予」制度があり、感染症を事由に受けられるケースがあると国税庁は公表しています。また、本来は納税の猶予に担保の提供が必要ですが、今般の感染症の影響である場合は、担保は不要としています。

雇用調整助成金の コロナウイルス関連特例の続報

2020-04-09

雇用調整助成金のおさらい
景気変動の影響を受け、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者の雇用の維持を保つ目的で、計画的に行う【休業】の際に支払う【休業手当・賃金等】の一部を助成するものです。補助率は一定期間、中小企業は支払った休業手当の5分の4(解雇がなければ9割)最長約190日分にアップしています。
受給要件(コロナウイルス特例時)
通常は売上げ減が3か月継続していることや雇用増員した人数によって制限がありますが、特例時はその要件が緩和されています。
■景気の変動等、経済上の理由であること
・コロナウイルスの影響で市民活動が自粛されたことにより、客数が減った。
・コロナウイルスの影響で風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減った等、
■事業活動の縮小が確認できること
■生産量要件を満たしていること
★売上高や生産量の直近1か月間の値が前年同期に比べ5%以上減少していること
★事業所設置1年未満の場合は、直近1カ月間の値が令和元年12月に比べ5%以上減少していること
■判定対象期間1か月における対象者の休業延べ日数が、所定労働日数延べ日数の1/20(大企業1/15)となるものであること
■対象者が雇用保険加入者以外も対象になりました
■支払う休業手当の額が、平均賃金の6割以上となっていること
■事前に労働者代表と協定を結ぶこと
■雇用保険適用事業主であること
■労働保険料の滞納がないこと
令和2年6月30日までに休業等を開始した場合、計画届の事後提出が認められます。(令和2 年1月24日以降に開始しているもののみ)
つまり前年同月から売上5%減+従業員を休ませて休業手当を支払う+ある程度の規模の休業を行ったor行う予定がある(中小企業で20人、所定労働日数20日/月の企業だと20人/日以上の休業)以上の条件を満たすと対象の可能性があります。
休業補償を行い働いている人の雇用保護を図ることで雇用調整助成金の対象になります

年休付与の賢い方法 5日義務も怖くない! 様々な年休消化の仕方

2020-03-30

年次有給休暇の取得状況

厚生労働省が2019年10月に発表した就労条件総合調査によると2018年の年次有給休暇取得率は52.4%と前年から1.3ポイント上昇しています。取得日数は平均9.4日で大企業ほど取得率が高くなっています。

労働者側の自分の仕事が大変になったり職場に迷惑がかかったりするというためらいも、取得が進まない原因になっているようです。厚労省は2020年に取得率7割を目指すとしていますが目標には遠く、2019年4月からの働き方改革の一環で年5日の有給休暇取得義務付けがされました。

取得促進のための各制度

年休は原則1労働日単位での取得ですが、各社で決まりを作っておけば良く、半日年休も60%以上の企業が利用していますし、計画年休も35%が導入しています。

それぞれの特徴を見てみます。

半日単位年休……労使間の合意により半日年休制度を設け、半日単位で与えることも可能です。年休を半日単位で付与するにあたって就業時間のどの時刻で前半と後半に分けるかは労使合意により決めます。

時間単位年休……年次有給休暇は労使協定により年5日までは時間単位で付与することができます。従業員はプライベートな用事に充てることもでき小刻みに休みをとることで仕事が溜まってしまうということもないのでありがたいのですが、企業側は時間管理の手間がかかることもあるのでシステムなどとの連携が必要かもしれません。

計画年休制度……労使協定に基づいて企業側で計画的取得ができるもので一斉に又は部署ごとに夏季、年末年始休暇などに合わせて設定もできます。各人の付与日数の5日を超える日数について計画的に取得してもらうことができます。

働き方改革の年休時季指定……2019年4月から働き方改革の一環で休暇が10日以上付与されている従業員に年5日の有給休暇を時季指定しなくてはならなくなりました。本人が自分で取得した日や計画年休もこの5日に含まれるので、5日以上取得している方は対象ではありません。この時季指定を今まで本来休業日であった休暇に代えて5日の有給休暇に充てるのは法の趣旨に反するので労使でよく話し合って協定を交わし、就業規則に載せるのが良いでしょう。

新型コロナウイルスで仕事を休んだら 休業か欠勤か有給か?

2020-03-29

新型コロナウイルスで休業したら

突然、小中高の学校が休校になったり様々なイベントが中止になったり、感染症の対応に企業も大わらわという事態が生じています。厚生労働省の「新型コロナウイルスの企業向けQ&A」では、新型コロナとはわからない発熱などの症状があって労働者が自主的に休めば通常の病欠と同じ扱いになります。一方、37.5度以上の熱があるなどの理由で一律に休業させると事業主の判断があるときは一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を払う必要があるとしています。労使で言い出した方の責任というのも変な話ですが、労務の提供ということで見れば体調不良で仕事を休めば欠勤であり、労務の提供はできるが会社から休むように言われた場合は会社都合という扱いでしょう。

判断に迷う微熱

微妙なのは37度くらいの時の判断で労務の提供ができるといえばできるかもしれませんが厚労省の「新型コロナウイルスの対応に関する基本方針」でも「患者・感染者との接触機会を減らす観点から企業に対して発熱などの風邪症状がみられる職員等への休暇取得の勧奨、テレワークや時差出勤の推進等を強力に呼びかける」としています。今回のような感染症は非常事態なので企業が何らかのラインを引く必要があるかもしれません。発熱で労務の提供がなければ欠勤で無給か従業員の意思確認の上、有給休暇を使用するか、会社が特別休暇扱いにする時は給与の有無も決める必要があるでしょう。有給休暇がない人はどうするのか等の問題もありますが企業は柔軟に考え、今は拡大を阻止することが最重要でしょう。

休業手当の取り扱いは?

会社からの休業手当支払いはどのようになるでしょうか? 新型コロナウイルスでお客に突然キャンセルされた、来客が少なくなった、売り上げが大幅に落ちた等で社員を休ませなければならなくなった場合の休業手当(休業期間中平均賃金の60%の休業手当)は経営障害(不況、資金難、材料不足等)による休業にあたり、手当が必要でしょう。企業には痛手で影響も大きいので、これを受けて政府は、雇用調整助成金を休業手当の補填とする条件緩和の緊急討議をしています。助成金を利用することも視野に入れておきましょう。

賃金請求権(退職手当除く)の 消滅時効は当面3年に

2020-03-14

民法(債権法)の改正

労働基準法第115条は、賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間、退職手当の請求権は5年間の消滅時効を定めています。

2020年4月1日に施行される改正民法(第166条第1項)では、一般債権の消滅時効は次のいずれかとなります。

①債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき。

②権利を行使できる時(客観的起算点)から10年間行使しないとき。

従来、「使用人等の給与」等に設定されていた短期消滅時効が民法では廃止されますので、労働基準法の賃金請求権の消滅時効の取扱いがどうなるか注目されていました。

 

労働基準法の賃金請求権は当面3年に

厚生労働省は、通常国会に労働基準法改正案を提出し、賃金請求権の消滅時効は、客観的起算点から5年を原則とするものの、労働基準法第109条の記録保存期間に合わせて当分の間3年とし、5年後に必要に応じて見直すことになりそうです。

なお、退職手当の請求権の5年間、年次有給休暇取得の2年間の消滅時効に変更はありません。

 

未払賃金の遡及も最大3年に

労働基準監督官の臨検で未払賃金に関して是正勧告された場合、最大2年分の遡及払いを指導されていましたが、今回の改正で、さらに1年分多く遡及される可能性があります。

つまり、臨検で未払賃金の是正勧告を受けた場合や未払賃金に関する裁判で会社敗訴となった場合のリスクが1.5倍となるということです。

従来の2年遡及でも、企業にはかなりの痛手となっていましたので、遡及が最大3年となれば、会社の存続自体が危ぶまれるケースが増えてくるかもしれません。

情報量が増えたハロワ求人票 活用して、いい人材を見つけよう

2020-02-15

求職者により詳しい求人情報を提供できる

2020年1月よりハローワークのシステム刷新でハローワーク求人票に入れられる情報が増加しました。情報量が増えA4片面から両面に変わり、求職者に対して求人情報をより詳細に伝えることができます。事業所の画像情報や「事業所からのメッセージ」などのPR情報も提供できます。
求人申し込みも次の3通りの方法から選んで申し込みができるようになりました。
① 求人マイページの開設をし、事業所のパソコンから求人情報を入力、仮登録後に窓口で本登録を行います。すでに登録してある事業所は再登録の必要はありませんが、内容確認や追加項目情報は窓口で登録します。
② ハローワーク内のパソコン(検索、登録用端末)で求人情報を入力し窓口で手続きを行います。
③ 筆記式の求人申込書に記入、窓口で手続きを行います。

求人票の項目の変更

① 新設する項目……正社員登用、受動喫煙対策、必要なPCスキル、固定残業代、36協定における特別条項。他に職務給制度、復職制度は求人票には記載されないがハローワークインターネットサービスに掲載されます。
② 登録方法の変更……地図、最寄り駅、学歴、必要な免許・資格、PRロゴマーク他
③ 登録可能文字数の増加……仕事の内容、求人に関する特記事項他

新設項目を個別にみてみると

正社員登用では正社員以外の人を募集する場合は正社員登用する制度の有無を記載の上、過去3年の実績も載せます。
屋内の受動喫煙対策では健康増進法の改正で受動喫煙防止措置義務が課され、求人票にも受動喫煙対策の明示が求められます。
必要なPCスキルでは使用するアプリケーションや作業内容などを記載します。
固定残業代を採用しているときは、時間外労働時間にかかわらず支給され、超過の際は法定で支払う旨特記事項に記載します。
36協定の特別条項を締結しているときは特別な事情や延長時間等を記載します。
今まで特記事項などに載せていた情報が別枠になったイメージですね。

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